「最近お通じの調子が悪くなった」「お腹が張って苦しい」。年齢を重ねるにつれて便秘に悩む方は増えてきます。
実は、高齢者の便秘には若い世代とは異なる原因があるため、対策も年齢に合わせたアプローチが必要です。加齢による腸の機能低下、水分摂取量の減少、運動量の低下、服用している薬の影響など、複合的な要因が重なり合っています。
この記事では、高齢者に多い便秘の原因を整理したうえで、腸を整える食べ物や生活習慣について詳しく解説していきます。

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高齢者が便秘になりやすい原因
腸の蠕動運動の低下
加齢とともに腸の蠕動運動(腸が食べ物を送り出す動き)が弱くなります。腸を動かす筋肉や神経の機能が衰えることで、便が腸内に長く留まりやすくなり、水分が過剰に吸収されて硬い便になってしまいます。
水分摂取量の減少
高齢になると喉の渇きを感じにくくなり、無意識のうちに水分摂取量が減ってしまうことがあります。十分な水分がないと便が硬くなり、排出しにくくなります。
食事量の減少
食欲の低下や咀嚼・嚥下機能の衰えにより、食事量が減ると便のかさが少なくなります。特に食物繊維の摂取量が減ると、腸の刺激が弱まり便秘になりやすくなります。
運動量の低下
足腰の衰えや持病の影響で外出や運動の機会が減ると、腸の動きも鈍くなります。腹筋の力が弱まることで、いきむ力も低下します。
薬の副作用
高齢者は複数の薬を服用していることが多く、中には便秘を引き起こす副作用がある薬もあります。降圧剤、カルシウム拮抗薬、鎮痛薬(オピオイド系)、抗うつ薬などは便秘を起こしやすいことが知られています。
高齢者の便秘は加齢による体の変化と生活習慣が複合的に影響しています。原因を理解したうえで、無理のない対策を続けることが大切です。
高齢者の便秘に効果的な食べ物
水溶性食物繊維が豊富な食べ物
水溶性食物繊維は腸内で水を抱き込んでゲル状になり、便を柔らかくしてくれます。高齢者にはまず水溶性食物繊維を意識して摂ることがおすすめです。
- 海藻類(わかめ・ひじき・もずく):味噌汁やスープに入れると柔らかくて食べやすい
- りんご:ペクチンが豊富。すりおろしやコンポートにすると消化しやすい
- オートミール:βグルカンが豊富。お粥のようにして食べるのがおすすめ
- もち麦:白米に混ぜて炊くだけで手軽に食物繊維が摂れる
- オクラ・山芋:ネバネバ食材は水溶性食物繊維の宝庫
この中でも、噛む力が落ちてきた方に選ばれやすいのがオートミールです。お湯や牛乳でふやかすだけで柔らかくなるので、おかずを別に用意しなくても一食になります。
不溶性食物繊維が豊富な食べ物
不溶性食物繊維は便のかさを増やして腸を刺激します。ただし、不溶性食物繊維だけを大量に摂ると便が硬くなって逆効果になることがあるので、水溶性とのバランスが大切です。
- さつまいも:ふかし芋や焼き芋で食べやすい
- ごぼう:きんぴらや煮物で柔らかくして
- 豆類:煮豆にすると高齢者にも食べやすい
- きのこ類:汁物や煮物に入れて柔らかく調理
発酵食品
- ヨーグルト:朝食に取り入れやすく、腸内の善玉菌を増やす
- 味噌汁:具だくさんにすれば食物繊維も同時に摂れる
- 漬物(ぬか漬け・浅漬け):植物性乳酸菌が含まれる。塩分には注意
- 甘酒(米麹):栄養が豊富で飲みやすい。食物繊維とオリゴ糖を含む
発酵食品を食事だけでそろえるのが負担になってきたら、『みやびの植物発酵100』という選択肢もあります。機能性表示食品で、有胞子性乳酸菌(B.coagulans SANK70258)は、便通を改善する機能が報告されています。持病のある方や薬を飲んでいる方は、医師に相談してください。詳しい内容は公式サイトで確認できます。

便を柔らかくする食べ物
- バナナ:オリゴ糖と食物繊維の両方を含む
- プルーン:ソルビトールが便の水分を保つ。ドライプルーンなら保存も効く
- キウイ:食物繊維と消化酵素アクチニジンのダブル効果
- オリーブオイル:オレイン酸が腸を刺激し、便の滑りを良くする
この中で保存がきくのがドライプルーンです。常温で置いておけて、1〜2粒ずつ食べられるので、果物を切る手間をかけずに毎日の習慣にしやすい食品です。


高齢者の便秘対策に効果的な食事の工夫
朝食をしっかり摂る
朝食を摂ることで「胃結腸反射」が起こり、腸の動きが活発になります。朝起きたらまずコップ1杯の白湯や水を飲むのも効果的です。胃に水分が入ることで腸のスイッチが入ります。
1日3食を決まった時間に
食事の時間を規則正しくすることで、腸のリズムが整います。食欲が落ちている場合は、1回の量を減らして間食を加える「分食」スタイルも有効です。
水分はこまめに少しずつ
1日に1.5リットル程度の水分摂取を目標にしましょう。ただし、緑茶やコーヒーなどカフェインを含む飲み物は利尿作用があるため、水や麦茶、白湯を中心にするのがおすすめです。
LIFULL介護の栄養士監修コラムでも、高齢者の便秘予防に向けた食生活のポイントが詳しくまとめられています。
食事以外の便秘対策
無理のない運動を続ける
毎日のウォーキングや軽い体操で腸の蠕動運動を促しましょう。1日15〜20分の散歩でも腸の動きは変わってきます。椅子に座ったままでできる腹筋運動や、腰を左右にひねる体操も効果的です。
お腹のマッサージ
おへその周りを時計回りにやさしくさするマッサージは、腸の動きを促すのに役立ちます。入浴後の体が温まった状態で行うとさらに効果的です。
排便習慣をつくる
毎朝食後にトイレに座る習慣をつけましょう。出なくても5分程度座って、体に「排便のリズム」を覚えさせることが大切です。洋式トイレの場合は、足元に台を置いて前傾姿勢をとると排便しやすくなります。


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高齢者の便秘で注意すべきこと
- 市販の刺激性下剤を常用しない:センナやビサコジルなどの刺激性下剤は長期使用で腸が慣れてしまい、薬なしでは排便できなくなるリスクがあります
- 便秘がひどい場合は我慢しない:1週間以上便が出ない、お腹が張って痛い場合は早めに医師に相談しましょう
- 急な食物繊維の大量摂取は避ける:いきなり食物繊維を増やすとお腹が張ることがあるため、少しずつ増やしていきましょう
よくある質問(Q&A)
Q. 高齢者におすすめの便秘薬はありますか?
A. かかりつけの医師に相談するのが一番ですが、酸化マグネシウムは比較的安全性が高く、高齢者にも処方されることが多い便秘薬です。自己判断での使用は避けてください。
Q. 入れ歯で硬い食べ物が食べられない場合はどうすればいいですか?
A. 柔らかく煮る、すりおろす、ミキサーにかけるなどの工夫で対応できます。ヨーグルト、バナナ、甘酒、味噌汁、お粥など、そのまま食べられるものも多いです。
汁物がむせやすい場合は、混ぜるだけでとろみを付けられる介護用のとろみ剤が市販されています。飲み込みに不安があるときは、使い方や濃度について医師や言語聴覚士に確認しておくと安心です。
Q. 水分を摂りすぎるとむくみませんか?
A. 心臓や腎臓に持病がある場合は水分制限が必要なことがありますので、主治医に相談してください。特に制限がなければ、こまめに少量ずつ摂る分には問題ありません。
Q. 便秘が続くと大きな病気につながりますか?
A. 便秘自体が直接大きな病気を引き起こすことは稀ですが、長期的な便秘は腸閉塞や痔のリスクを高めることがあります。また便秘は大腸がんなど他の疾患のサインである場合もあるので、長引く場合は医師に相談しましょう。
高齢者の便秘は、食事と生活習慣の工夫で改善できるケースが多いです。無理のないペースで、毎日の食事に食物繊維と発酵食品を取り入れることから始めてみてください。
食と健康コラム「高齢者の便秘にいい食事レシピ」でも、管理栄養士監修のレシピが紹介されています。
椅子に座ったままできる腹筋運動
足腰が弱くて立って運動するのが難しい方でも、椅子に座ったままできる運動があります。背筋を伸ばして椅子に座り、上半身を左右にゆっくりひねるだけでも腹筋に刺激が入り、腸の動きが促されます。1回5〜10回を目安に、1日2〜3セット行ってみましょう。テレビを見ながらでもできるので、日課にしやすいのがメリットです。
水分摂取のタイミングを工夫する
高齢者の場合、一度に大量の水分を摂ると胃に負担がかかることがあります。食事と食事の間に少量ずつ(コップ半分程度)を数回に分けて飲むのが効果的です。枕元にコップを置いておき、夜中に目が覚めた時にも一口飲むようにすると、就寝中の脱水も防げます。
高齢者の便秘に役立つ簡単メニュー
甘酒バナナヨーグルト
米麹甘酒にプレーンヨーグルトとバナナのスライスを加えたデザート感覚の一品です。甘酒の食物繊維・オリゴ糖とヨーグルトの乳酸菌のシンバイオティクス効果で腸内環境を整えてくれます。噛む力が弱くなった方でも食べやすいメニューです。
きのこと海藻のとろとろ味噌汁
えのき、しめじ、わかめを入れた味噌汁を少し長めに煮込んで柔らかくします。水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の両方を摂れるうえ、温かい汁物は体を温めて腸の動きを促します。豆腐を加えるとたんぱく質も補えます。
もち麦入りお粥
白米にもち麦を2〜3割混ぜてお粥にするだけで、食物繊維の摂取量が大幅にアップします。柔らかく炊くので、咀嚼力が低下した高齢者でも食べやすいのがポイントです。梅干しや鮭フレークを添えると食が進みます。
もち麦は白米に混ぜるだけなので、調理の手順を増やさずに続けられます。大袋で買っておけば買い足しの回数も減らせるため、介護をしながらの食事づくりとも相性がよい食材です。
介護が必要な方の便秘対策
自力での生活が難しい高齢者の場合は、以下の点にも気を配りましょう。
- 食事の姿勢:できるだけ上体を起こした姿勢で食事をすることで、消化が促されます
- こまめな水分補給:自分から水分を要求しないことが多いため、介護者が定期的に水分を勧めることが大切です
- 排便のリマインド:毎朝決まった時間にトイレに誘導することで排便習慣がつきやすくなります
- 腹部マッサージ:介護者がやさしくお腹をマッサージしてあげることも効果的です
- 医師との連携:服用中の薬が便秘の原因になっている可能性もあるので、定期的に医師に相談しましょう






なお、便秘が長く続くときや、腹痛・嘔吐・血便などをともなうときは、市販品で様子を見ずにかかりつけ医に相談してください。服用中の薬が原因になっている場合もあります。
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