ヨーグルトやサプリメントのパッケージに書かれた「ビフィズス菌」「ガセリ菌」「LG21」といった表記を見て、「結局どの乳酸菌がいいの?」と迷った経験はありませんか。
実は乳酸菌と一口に言っても、その種類は数百以上にのぼります。そして菌の種類によって得意な効果が異なるため、目的に応じた選び方を知っておくことが腸活の成功率を大きく左右します。「何となく良さそうだから」で選んでいると、せっかくの腸活が遠回りになってしまうことも珍しくありません。
この記事では、代表的な乳酸菌の種類と期待できる効果の違いを分かりやすく整理しました。自分の悩みに合った乳酸菌を見つけるための参考にしてみてください。

そもそも乳酸菌とは?基本の仕組み
乳酸菌とは、糖を分解して乳酸を生成する細菌の総称です。特定の1種類の菌を指すわけではなく、乳酸を作り出すという共通の性質を持つ細菌グループを指します。
大きく分けると以下の2つのカテゴリーがあります。
- 乳酸菌(ラクトバチルス属など):主に小腸に住み着き、乳酸を作って悪玉菌の増殖を抑制する
- ビフィズス菌(ビフィドバクテリウム属):主に大腸に住み着き、乳酸に加えて酢酸も生成する。厳密には乳酸菌とは別のグループだが、広い意味で乳酸菌に含めることが多い
ヒトの腸内に存在する善玉菌のうち、ビフィズス菌は全体の約99.9%を占めるとされています。一方、一般的な「乳酸菌」は0.1%程度。数の面ではビフィズス菌が圧倒的に優勢です。
ただし乳酸菌は小腸で、ビフィズス菌は大腸でと、それぞれ活躍する場所が異なるため、どちらが優れているというものではありません。両方をバランスよく摂ることが大切です。
代表的な乳酸菌の種類と効果一覧
ここからは、市販の食品やサプリメントによく使われている乳酸菌を種類別に紹介していきます。
ビフィズス菌(Bifidobacterium)
大腸の主役ともいえるビフィズス菌は、乳酸と酢酸を生成して腸内を酸性に保ち、悪玉菌の増殖を強力に抑えます。
- ビフィズス菌BB536:整腸作用が高く、花粉症の症状軽減やインフルエンザ予防に関する研究報告もある。森永乳業のビヒダスヨーグルトに配合
- ビフィズス菌BE80:胃酸に強く生きたまま腸に届きやすい。便通改善に関する研究データが豊富。ダノンビオに配合
- ビフィズス菌B-3:体脂肪の低減に関する研究がある。ダイエットとの関連で注目されている菌株
ラクトバチルス属(Lactobacillus)
小腸を中心に活動する乳酸菌で、種類が非常に豊富なグループです。
- LG21(L. gasseri OLL2716):ピロリ菌の活動を抑制する効果が報告されている。胃の健康が気になる方に。明治プロビオヨーグルトLG21に配合
- ガセリ菌SP株(L. gasseri SBT2055):内臓脂肪の低減効果が機能性表示食品として認められている。メタボが気になる方に注目の菌株。雪印メグミルクのナチュレ恵に配合
- L. casei シロタ株:整腸作用と免疫力向上に関する研究が多い。ヤクルトの看板菌株として長い歴史を持つ
- L. bulgaricus(ブルガリア菌):ヨーグルト製造に欠かせない菌で、サーモフィルス菌とセットで使われることが多い。明治ブルガリアヨーグルトに配合
- L. rhamnosus GG(LGG菌):世界で最も研究されている乳酸菌のひとつ。アレルギー予防や下痢の改善効果が報告されている

ラクトコッカス属(Lactococcus)
- L. lactis subsp. cremoris FC:カスピ海ヨーグルトを作る菌として知られている。独特のとろみ成分(EPS)が免疫活性化に関わるとされている
エンテロコッカス属(Enterococcus)
- エンテロコッカス・フェカリス菌:加熱殺菌しても効果を発揮する「殺菌菌体」として利用されることが多い。免疫賦活作用が注目されている
ストレプトコッカス属(Streptococcus)
- サーモフィルス菌:ブルガリア菌と組み合わせてヨーグルトを発酵させる基本的な菌種。腸内の乳酸菌を増やすサポート役
目的別の乳酸菌の選び方
種類が多すぎて選べないという方のために、悩み別のおすすめをまとめました。
便秘・お通じの改善:ビフィズス菌BB536、BE80、L. casei シロタ株
免疫力を高めたい:L. casei シロタ株、R-1(1073R-1乳酸菌)、プラズマ乳酸菌
内臓脂肪・メタボ対策:ガセリ菌SP株、ビフィズス菌B-3
胃の不調・ピロリ菌対策:LG21
花粉症・アレルギー対策:ビフィズス菌BB536、L. acidophilus L-92
ストレス・メンタルケア:L. casei シロタ株(腸脳相関に関する研究あり)
乳酸菌を効果的に摂取するコツ
自分に合いそうな菌が見つかったら、次は摂り方のコツをおさえましょう。せっかくの乳酸菌も、摂り方を間違えると効果が半減してしまいます。
1. 最低2週間は同じ菌を続ける
乳酸菌の効果は個人の腸内環境との相性に左右されます。同じ菌株を最低2週間は続けて、体調の変化を観察してください。2週間で変化が感じられなければ、別の菌株に切り替えてみるのがおすすめです。
2. 毎日継続して摂取する
外部から摂取した乳酸菌は、基本的に腸内に永住するわけではありません。多くの場合、数日〜1週間程度で排出されます。そのため、毎日コンスタントに摂り続けることが重要です。
3. プレバイオティクスと一緒に摂る
乳酸菌(プロバイオティクス)とそのエサ(プレバイオティクス)を同時に摂る「シンバイオティクス」が効果的です。具体的には、ヨーグルトにバナナやはちみつをトッピングする、味噌汁に野菜をたっぷり入れるなどの組み合わせがおすすめです。シンバイオティクスの食品やサプリについては以下の記事で詳しく解説しています。

4. 空腹時は避ける
空腹時は胃酸の濃度が高いため、乳酸菌が胃で死滅しやすくなります。食後など胃酸が薄まっているタイミングで摂取するほうが、生きた菌が腸まで届く確率が高まります。


「生きた菌」と「死んだ菌」、どちらが効果的?
乳酸菌は生きたまま腸に届くことが重要だと思われがちですが、実は死菌にも一定の健康効果があることが分かっています。
死菌は菌体成分(細胞壁の成分など)が免疫細胞を刺激する「免疫賦活作用」を持つことが確認されています。エンテロコッカス・フェカリス菌のように、あえて殺菌した状態で利用される菌も存在します。
ただし、生きた菌には腸内で乳酸や酢酸を直接生産するという、死菌にはできない働きがあります。つまり生菌と死菌はそれぞれ異なるメカニズムで健康に貢献しているのです。乳酸菌が多く含まれる食品については以下の記事でまとめています。



乳酸菌の効果には個人差があります。同じ菌株でも体質や腸内環境によって効果の出方が異なるため、「この菌さえ摂れば万事OK」という考え方は避けましょう。色々な菌を試しながら自分との相性を見つけていくプロセスが大切です。
よくある質問(Q&A)
Q. 乳酸菌は何億個くらい摂れば効果がありますか?
明確な基準値はありませんが、多くの臨床研究では1日あたり数十億〜数百億個の摂取で効果が確認されています。市販のヨーグルト1カップ(100〜200g)には通常10億〜100億個程度の乳酸菌が含まれているため、毎日1カップのヨーグルトを食べるだけでもある程度の量は確保できます。
Q. 乳酸菌サプリとヨーグルト、どちらが効果的ですか?
一長一短があります。サプリメントは菌の種類と数が明確で、カロリーを気にせず摂取できるメリットがあります。一方、ヨーグルトには乳酸菌以外にもたんぱく質やカルシウムなどの栄養素が含まれており、総合的な健康効果が期待できます。理想的なのは食事でベースの乳酸菌を摂りつつ、必要に応じてサプリメントで補う方法です。
Q. 複数の乳酸菌を同時に摂っても大丈夫ですか?
基本的に問題ありません。むしろ複数の菌を摂取することで腸内細菌の多様性が高まり、プラスに働くことが多いです。ただし、効果を正確に判断したい場合は、まず1種類ずつ試して自分との相性を確認する方がわかりやすいでしょう。
Q. 乳酸菌は加齢とともに減りますか?
はい、特にビフィズス菌は加齢に伴い減少することが知られています。赤ちゃんの腸内ではビフィズス菌が約90%以上を占めますが、成人になると10〜20%程度、高齢者ではさらに減少します。年齢を重ねるほど意識的に乳酸菌を摂取する必要性が高まります。


まとめ
乳酸菌は種類によって得意な効果が大きく異なります。便秘改善にはビフィズス菌BB536やBE80、免疫力アップにはL. caseiシロタ株やR-1、内臓脂肪対策にはガセリ菌SP株など、自分の悩みに合った菌株を選ぶことが腸活成功の近道です。
効果的な摂取のポイントは、同じ菌を最低2週間は継続すること、毎日摂り続けること、プレバイオティクスと組み合わせること、食後に摂ることの4つです。
乳酸菌の詳しい情報については、厚生労働省 e-ヘルスネット「腸内細菌と健康」(www.e-healthnet.mhlw.go.jp・サイト終了)や明治ヨーグルトライブラリーも参考になります。まずは気になる乳酸菌を1つ選んで、2週間のお試しから始めてみてください。

