「過敏性腸症候群(IBS)の症状がつらいけど、まずは市販薬でなんとかしたい」「病院でIBSと言われたことがあるけど、手軽に買える薬はないの?」と考えている方は多いのではないでしょうか。
IBSに対応した市販薬は実はいくつかあり、症状のタイプ(下痢型・便秘型・混合型)に応じて選ぶことが大切です。ただし、IBSは生活習慣やストレスが大きく関わる疾患であるため、市販薬だけに頼るのではなく、食事やストレスケアと組み合わせて使うことが重要です。
この記事では、IBSに使える市販薬を症状タイプ別に整理し、選び方と正しい使い方を解説していきます。

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まず知っておきたい大前提|IBSは自己診断しない
IBSの症状(腹痛を伴う下痢や便秘の繰り返し)は、大腸がんや炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎・クローン病)など、他の疾患でも見られることがあります。特に以下のような症状がある場合は、市販薬で対処する前に消化器内科を受診しましょう。
- 血便が出る
- 体重が急に減少した
- 発熱を伴う
- 夜間に症状で目が覚める
- 50歳以降に初めて症状が出た
- 症状がどんどん悪化している
これらは「アラームサイン」と呼ばれ、IBSだけでは説明できない可能性があります。
IBSの「再発治療薬」として唯一の市販薬:セレキノンS
セレキノンSの特徴
セレキノンSは、トリメブチンマレイン酸塩を有効成分とする消化管運動調律剤で、IBSの再発治療薬として市販されている唯一の薬です(田辺ファーマ(旧・田辺三菱製薬))。
- 有効成分:トリメブチンマレイン酸塩 100mg/錠
- 作用:腸の動きが速すぎるときは抑制し、遅すぎるときは促進する「調律」の働き
- 対応する病型:下痢型・便秘型・混合型のすべてに対応
- 用法:1回1錠、1日3回、食前または食後に服用
セレキノンSは「再発治療薬」です。購入するには、以前に医師からIBSの診断を受けたことがある必要があります。薬剤師に確認されるので、初めてIBSの症状がある方は、まず消化器内科を受診して診断を受けましょう。
タイプ別|IBSの症状に使える市販薬
下痢型IBSに使える市販薬
- 整腸剤(新ビオフェルミンS錠、ビオスリーHi錠など):乳酸菌やビフィズス菌、酪酸菌で腸内環境を整える。下痢の根本的な原因にアプローチするというより、腸内バランスの改善を助けるもの
- 漢方薬(桂枝加芍薬湯):腹痛を伴う下痢に対して使われる漢方薬。芍薬の成分が消化器の筋肉の緊張を和らげ、腹痛を軽減してくれる
- ロペラミド(ストッパ下痢止めEXなど):腸の動きを抑えて下痢を止める。ただし頓服(必要なときだけ)の使用が基本で、連用は避ける
便秘型IBSに使える市販薬
- 酸化マグネシウム(3Aマグネシアなど):便を柔らかくする非刺激性の便秘薬。依存性が低く、長期的に使いやすい
- 整腸剤:善玉菌を補うことで腸内環境を整え、自然な排便を促す
- 漢方薬(桂枝加芍薬湯、小建中湯):腹痛を伴う便秘に。刺激性下剤と異なり、腸の筋肉を和らげて改善するアプローチ
IBS便秘型の方は、刺激性下剤(センナ、大黄、ビサコジルを含む製品)の常用を避けてください。コーラック、センナ茶、大黄甘草湯などはアントラキノン系の刺激性成分を含んでおり、長期使用で腸の神経を疲弊させ、下剤依存に陥るリスクがあります。
混合型IBSに使える市販薬
- セレキノンS:消化管の動きを調律する作用があるため、混合型には特に向いている
- 整腸剤:腸内環境を安定させることで、下痢と便秘の波を穏やかにする
- 漢方薬(半夏瀉心湯):心窩部不快感や下痢に効果があり、混合型にも適応する

整腸剤の選び方|菌の種類で選ぶのがポイント
IBSの方が最初に試しやすいのが整腸剤です。ただし、配合されている菌の種類によって特徴が異なります。
代表的な整腸剤と配合菌
- 新ビオフェルミンS錠:ビフィズス菌+フェーカリス菌+アシドフィルス菌の3種配合。腸全体のバランスを整えたい方に
- ビオスリーHi錠:乳酸菌+酪酸菌+糖化菌の3種が連携する処方。酪酸菌は短鎖脂肪酸を産生して腸の蠕動運動を促すため、便秘傾向の方にも向いている
- ミヤリサン(強ミヤリサン錠):酪酸菌(宮入菌)を主成分とする整腸剤。酪酸菌は胃酸に強く、生きたまま腸に届きやすい
- エビオス整腸薬:乳酸菌3種+ビール酵母由来成分配合
迷った場合は、複数の菌が配合されている整腸剤を選ぶと、自分の腸に合う菌をカバーしやすくなります。2週間ほど続けても変化を感じなければ、別の菌の整腸剤に切り替えてみましょう。
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市販薬を使うときの注意点
市販薬はあくまで「サポート」
市販薬はIBSの症状を一時的に緩和してくれますが、IBSの根本的な原因(ストレス・食生活・生活リズム)を改善するものではありません。市販薬と並行して、低FODMAP食の実践やストレスケア、運動習慣の見直しを行うことが大切です。
薬剤師に相談する
ドラッグストアで購入する際は、薬剤師に自分の症状(下痢が多いのか、便秘が多いのか、腹痛の有無など)を伝え、アドバイスをもらいましょう。
2週間以上改善しなければ受診を
市販薬を2週間以上使用しても症状が改善しない場合、または悪化する場合は、消化器内科を受診することをおすすめします。処方薬にはイリボー(ラモセトロン)やリンゼス(リナクロチド)など、市販薬にはないIBS専用の薬があります。
EPARKくすりの窓口のIBS市販薬解説では、IBSに使える市販薬について薬剤師が詳しく解説しています。また、さいとう内科クリニックのIBSの薬の選び方に関するコラムも参考になります。
処方薬と市販薬の違いを整理
IBSの治療薬には、市販薬では手に入らない処方薬がいくつかあります。市販薬で十分にコントロールできない場合は、消化器内科で処方薬を試してみる価値が大いにあります。
- イリボー(ラモセトロン):下痢型IBS専用の処方薬。セロトニン5-HT3受容体を遮断し、腸の過剰な動きを抑える。市販薬にはない作用機序で高い有効性が報告されている
- リンゼス(リナクロチド):便秘型IBS専用の処方薬。腸管への水分分泌を促し、さらに内臓の知覚過敏を和らげる
- グーフィス(エロビキシバット):胆汁酸の再吸収を抑え、大腸への水分分泌と蠕動運動を促す。慢性便秘にも使われる
市販薬はあくまで「セルフケアの手助け」であり、症状が長引く場合は処方薬の方がピンポイントで効果を発揮してくれることが多いです。
Q&Aコーナー|IBS市販薬でよくある疑問
Q. 整腸剤と下痢止めは一緒に飲んでいい?
整腸剤とロペラミド(下痢止め)の併用は一般的に問題ありません。ただし、複数の薬を同時に使う場合は薬剤師に確認するのが安全です。
Q. 漢方薬と西洋薬は併用できる?
桂枝加芍薬湯と整腸剤の併用は一般的に問題ないとされています。ただし、漢方薬同士の組み合わせでは成分が重複する場合があるため、複数の漢方薬を使う場合は薬剤師に確認しましょう。
Q. セレキノンSを買うには何が必要?
セレキノンSの購入には、以前に医師からIBSの診断を受けたことが条件です。薬剤師が購入時に確認するため、処方箋は不要ですが診断歴が必要になります。
Q. 整腸剤はどのくらい飲み続ければいい?
整腸剤は2週間を目安に効果を判断するのがおすすめです。変化を感じなければ、別の菌株が配合された整腸剤に切り替えてみましょう。自分の腸に合う菌を見つけることが大切です。

IBSに使える市販薬は、セレキノンS・整腸剤・漢方薬・酸化マグネシウムなど、症状に応じて選べるものがいくつかあります。自分のIBSのタイプを把握した上で適切な薬を選び、食事・ストレスケア・生活習慣の改善と組み合わせて使うことで、症状のコントロールを目指しましょう。
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